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〜幸か不幸か・・〜

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 親友と喧嘩した……。
「はぁ〜」
 学校からの帰り道。おもわず翠は溜め息をもらす。
 どうも先週あたりからうまくいかない。
 まず初めに階段からおち、次は家庭科の調理実習で砂糖と塩を反対にした、つぎは……。
「何だっけ?」
 あまりにも災難続きだったので順番など覚えていない。
「はあぁー…」
 もう一度ため息をもらすと翠は下を向きながら辛そうにつぶやいた。
「あーあ。きわめつきはカナと喧嘩か、今までで一番へこむ。」
 カナこと澤木カナは如月翠の中学入学以来4年もつきあっている仲で、また中学も高校もずっと同じクラスで離れた時間のが少ない位一緒にいた大親友なのである。
「どうしよ…仲直りできるかなぁ?喧嘩なんてしたことないし」
 翠は無意識に弱音をはいた。
 それくらい翠の心は、今、不安でいっぱいにおかされていた。

 そもそもほんのささいなことから始まった口論が喧嘩になったのである。だからどっちかが一方的に悪いというのでないので謝るのが難しいのであった。
「ふぅ…」
 もう幾度はいたか分からない溜め息の後、翠は手に持っている包みに意識がいった。
「そういえばこれなんだろう?」
 それは今日の帰り道、カナと喧嘩する前にカナに貰った物であった。
 翠はおもむろに包みの外装をビリビリやぶいて中身を確かめる。
 中身はたてよこが15センチ程の一冊の絵本だった。

タイトルはハッピーハッピーバースディ。

「えっ?………忘れてた。誕生日っ?!!」
 翠は不思議そうな顔をしてから、すぐに驚いた顔をして叫んだ。
 そう、今日5月の15日は翠の17歳の誕生日。
 連日の不幸続きのおかげでそのことをさっぱり忘れていたのだ。
 少しして確実に誕生日のことを思い出すと、翠は道端だというのにたちどまり本をひらき始めようとしていた。

 翠は家に帰るまで待てなかった。
 どうしても本の内容が、今、見たかった。
 なかば、本に導かれるように翠は、絵本のページを開けた。

 翠は一ページ、一ページじっくり読んでいく。
 見開きには左に絵が描かれており、右のページに一行、二行くらいの短い文が書かれていた。

 今日と言う日。

 あなたのすべてが私の幸福。

 今日はあなたの誕生日だから、とっておきの笑顔で笑います。

 また一年、悲しいこと、辛いこと、嬉しいこと、楽しいこと、いろいろあるけれど、ひとつずつ消化して、もっともっといい女性になろう。

 誰にも負けないことを、ひとつでいい、つくって一途にがんばろう。

 いつでも側にいるよ。

 『しあわせになること』うまれたとき、誰もがもってる権利。あなたは今、しあわせですか?

 私はあなたがうまれたきたこと、出会えたことに感謝してます。全ての人の祝福をあなたに。

 誕生日おめでとう。
 今日は私にとっても特別な日。  あなたが産まれてきた日だから…。  これからも一緒にがんばろうね。

 翠は最後のページまで読むと嬉しくて涙した。
 まさに今読むのにふさわしい本だったのだ。

 翠は帰ってからもう一度読もうと思い絵本をすかさずしまおうとした。
 が…ふと何かに気付く。
 背表紙の裏側の裏に、カナから私宛ての茶色い封筒が入っていたのだ。
 メッセージかな?と翠は封を切る。
 中には可愛い二枚の手紙が入っていた。
 すぐに翠は手紙を読み始めた。

 途中からは嬉しさのあまり声にだして読んでいた。


Dear親愛なる 翠
翠は今毎日ついてないと思って落ち込んでるとおもう。
でもでも、落ち込む前に一回こう考えてみてっ!!
初めに毎日幸せが続いたと考えてみる(イメージ浮かんだ?)
そしたら刺激もなく退屈な毎日と一緒じゃない?
…やっぱついてない日もあってこそ幸せな日が幸せだと感じられるんじゃないかな?
少なくとも私はそう思う。
だから今はつらいことを乗りきって幸せな日をまとうっ!!
こんな励まししかできなくてごめんね…不甲斐ないね。でも乗り越えてね。
あとね、辛いときはいって!!いつも一人でかかえすぎ。
私にだって一緒に考えることはできると思うし、話もきいてあげれると思う。一人より二人だよっ。
遅くなってしまったけど誕生日おめでとう。
たいしたことないプレゼントだけど…私の気持ちに似てたからプレゼントしてみた。
ほんと翠がうまれてきて、出会えてよかったと思う。いつもありがとう。
これからも一緒にがんばろうね☆

From カナ


 翠は手紙を読み終わり、少しなみだぐみながら、スグに絵本と手紙を鞄の中にしまい、同時に帰り道と逆方向に走りだしていた。

 知らなかった。
 カナがこんなに自分の事を思ってくれてるなんて…。
 もう喧嘩したことなどどうでもいい。
 とにかくカナに会いたかった。
 会ってお礼が。
 会って自分の気持ちも伝えなきゃ。
 翠は今すぐにでもこのことを伝えたかった。
 でも、電話ではなく会って伝えなければ意味がなかった。

 翠はなりふりなどかまわず、カナの家をめざしていた。

 もう翠の頭の中にには、災難続きでつらかったことなど微塵も残ってない。
 カナからの幸せの贈り物と、カナに会って言いたいことでいっぱいだったから。

 カナに会ったら真っ先に言うんだ。  『カナに会えて、カナが産まれてきてよかった。これからも一緒にいよう』と。


不幸だった日が特別な一日になった

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2006/01/15