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Top Novelindex Index Back Next /////////////////////////////////////////////////////////////////////////// 何を目指して歩んだらいいの? 否定される自分自身。 私にはもうどう進めばいいか分からない。 ―『encounter』― 佐々木先輩に告白されたその日の部活帰り、家に一本の電話を入れた事で、私の不思議な出会いは始まる。 気が付くと私は、通っている中学校がある駅から数えて五個めの――富岡駅で下車し、改札を出たすぐ側の柱の前に何時間もいた。 「何してんだ?こんなとこ座って。汚れるぞ」 頭上から声が微かに聞こえる。 ………私に話しかけるんは誰? 「おいっ」 頭上からまた、同じ人の低い声が私の耳に入った。 何なんこの人? 「ほらっ、立てっ」 言うのと同時に、三角座りに縮こまって座っていた私の左腕に声の主の右腕がそえられて、そのまま上にひっぱられ、立たされた。 そうされると、すぐに私の前にいる声の主…黒髪の男の人の影から髪の色が変に茶色い(まだらに)、お世辞にも美人と言えない女の人が口を開いた。 「あきら、そんな子ほっといたら?なんかわけありっぽいし」 そう。その人の言う通り。放っといて欲しい。 「んっ……?あ……きら……?」 あれ?何で私の名前? 「それは俺の名前。なんや、声でるやないか。で、ここで何してんだ?もうすぐ日付変わるぞ。見たとこ、おまえ中学生みたいやし。何よりその制服が中学生って語ってるしな」 「何もしてません。それにあなたには関わりのないことです」 「かといってもな。君を俺は見つけてもたし、それに、ここで不良少女を見捨てるのは俺の性分にあわんから、連れていく」 「なっ…不良少女ってっ!!わたしは……」 って、何を言うつもりだったの私?何を言っても、こんな時間にここにいたことの弁解にはならへんのに。 でも、せめて不良少女だけは撤回したかった。 それからしばらく、沈黙を続けていると、急にあきらさんと言う人が呟いた。 「なるほど…わけありか」 ……っ。 今の会話だけで、そんなん分かるんこの人。……て、分かるか。こんなとこで縮まってるん見たら。 でも、理由は聞かんといてな。聞かれた瞬間、声荒げてしまうから。 今日は、もうこれ以上それをするんはたくさんやねん。 「そうか、無言ってことは、『わけあり』は肯定で、理由は聞くなってことやな」 また少し、沈黙を守っていたら、彼が話しかけてきた。 何で、分かるん私の気持ち? ……やっぱり、この人すごいっ。 エスパーか何かかな? 彼のことが不思議に思えて、今まであらぬ方向を見ていた瞳を、窺い見るように、彼の方へ向けた。 そうした途端に、彼がにやりと笑って、また口を開いた。 「今、俺のことすごいって思ったやろっ?」 「(なっ、何この人はーーっ?)」 絶対超能力もってはる。 何者や? 「はは。何ゆーてんねんやろな、俺は」 言いながら、照れ笑いする彼。 えっ?可愛い。 言葉遣いからは想像できない、その笑みに私は思わずそう感じてしまい、男の人を可愛いって初めて思った私は少し戸惑った。 「でっ、一緒に来るか?」 そう問われ、私が返事をしようとすると、それより先に、さっきの女の人が声を荒げ始めた。 「ちょっ!!あきら、何言ってんの?こんな得体の知れない子供相手にっ」 「(なっ……)」 得体の知れない子供っ?!子供は置いといて得体の知れへんのはあんたやんかーーっ!! 「青山っ、俺はこの子と話してるんだ。だまっててくれないか?」 今にも叫びそうだった私の変わりに、あきらさんが青山さんという人を抑圧してくれた。 何だか、それが、今の私にとって少し嬉しいことやった。 それにしても、この人は、私みたいに怒りをあらわにしたりしないんだ。 でも、こっちのが――冷静に話される方が威圧感は大きく、凄みを増してる気がする。 このことから、この人は怒らしてはいけない人だと私の頭の中にインプットされた。 「でも、私はあきらの事を思って…」 「思ってくれるのは嬉しい。…が見た目や状況だけで人を判断するのはあまりよくないと俺は思う。そうは思わないか?それに、俺はこの子に聞いてるんや」 突き放されたような物言いに、青山さんの顔は今にも泣きそうな表情を浮かべている。 いいんかな?私をかばって。 「そんな言い方って…もういいっ、私帰る」 そう言い残し、青山さんという人はこの場から足早に去っていった。 あー。行ってもた。 行かせて良かったんかな? そんな私の心配とは裏腹に、何事も無かったように、あきらさんは謝ってきた。 「すまなかったな、連れが」 「いえ、こんな所にいてる私も私ですから。それよりもあの人行っちゃいましたけど、良かったんですか?」 「あいつが勝手に付いてきたんだから、俺に支障はない。そんで来るのか?」 ふむ。この言葉を聞いて、女の人に困ってへんことが分かった。それなら、付いていっても大丈夫かな。 でも、この人の言葉が嘘じゃない場合やったらやけど…。 どうしよ? 少し考えて、私はあることを思いつく。 「えと…その返事をする前に一ついいですか?」 「どうぞ」 「何故、私を?」 そう。これが思いついたこと。というか、聞いとかなければならなかったこと。 これの返答しだいで、私の行く先は決まる。 「それはな、俺も昔同じようなことがあったから」 同じこと?彼も過去に逃げ出しことが?では、この人は今の私の痛みを分かってくれる人かも知れない。 「そうですか」 「で?」 私は… さっきの彼の言った『俺も昔同じようなことがあったから』という言葉と彼自身を信用したい。 だから、私は彼について行く事を決め、彼に向かって『よろしくお願いします』と告げた。 2006/04/09
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