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Top Novelindex Index Back Next /////////////////////////////////////////////////////////////////////////// 声に出さないで、分かって欲しいと思うのは勝手な言い分なのですか? ―『name』― 私の目の前に信じられない光景が写っていた。 「ここどこですか?」 一瞬、あきらさんの方へおそるおそる顔をあげ、質問を投げ掛けた。 「俺んち」 「はっ?」 ……ここが? やはり信じれなくて、もう一度、俺んちと言われた方を見つめる。 「だから、ここは俺の家。分かった?」 「はぁ…って、でかくないですかぁ??」 そう。私の視線の先には、もはや家とは言えない程の大きな日本風お屋敷が佇んでいて…… 軽く『俺んち』と言われても、私の馬鹿な頭はすぐにそれを理解してくれなかった。 「そうか、こんなもんやろ。さっ、行くぞっ」 彼はそう言うと、門がまえ?らしき所の右手にある勝手口を開け、中に入っていく。私もそれについて行った。 中に入ると、私は目をぱちぱちさせ、視界の先にある光景に、言葉を失うくらいまた驚いた。 門構えから玄関まで30メートル以上はありそうな、人が10人は横に並んで歩ける石でできた通路に、右側には直径どれ位か分からない位大きな池があり、それに伴い、様々な種類の樹木が植えられている。 …なんですか??ここは? 庭?にしたら壮大すぎる。 というよりも、庭園? やはり、この人は何者やろか? ……お金持ちのおぼっちゃん? いや、ありえへん。この言葉遣いに、着くずした格好、ジーンズなんて穴がいっぱい開いてるし、それにあのぼさぼさ頭。 顔立ちは鼻筋も通って、瞳も綺麗で、それに顔全体のパーツもしっかり填められているようにみえ、かっこいいけど…。 やっぱり違うな。 でも…お金持ちは何するか分からんって言うし。 正体を見極めるため、前を歩くあきらさんを私は凝視した。 そのままの状態で(後ろから凝視)、少し歩き、やっと玄関前に着いた。 すると、奇妙なことに勝手に戸がガラガラと音をたて開かれていった。 ……な、なんで?まさか、自動ドア? 「おかえりなさいませ、あきら様」 開かれた扉の先には、初老の男性――年の頃からして50は過ぎてるだろうか。浅葱色の和服を身にまとった少し白髪混じりの、品のよい人が立っていて、あきらさんに挨拶をしながら、彼に向け、頭をさげた。 自動ドアでなく、この人がドアを開けたんか。びっくりしたぁ。 ……ってその前に、あきら“様"。 さ…さまぁっ?! やはり、お金持ち?? 「ただいま」 「お邪魔します」 と言いながら、軽く頭を下げた。 とりあえず、目上の人には敬語っと。 「はい。あの…そちらは?」 「拾った」 って“おいっ" それはないやん。 って、あの状況では仕方ないか。 「拾ったですか…」 表情には出してないが、言葉は不思議そうに返す初老の男性。 ……まぁ、普通“拾った"言われたら、疑問に思うやんな。 追い出されへんかな? 今日、行くところの無い私は少し、心配になり始めた。 「そや、いつまでか分からんが、ここに置いとくことにした。それでな、部屋を用意したって欲しいんやけど――っと、その前にまず、この子風呂に案内したってくれへんか?」 「かしこまりました。お嬢さんっ」 「はいっ」 いきなり呼ばれて、私はかしこまった。 「私はここの使用人の四方 幸宏(よも ゆきひろ)と申します。以後お見知りおきを。お嬢さんのお名前うかがっても?」 「はい、あの…大久保 晶です。突然お邪魔しましてすみません。ですが、よろしくお願いします」 良かった。お見知りおきをって事は、置いてもらえるんや。 「あ…きら?同じ名前か?…ああ、それでさっき聞き返したのか――そうか」 考え込むように、少し首をうつ向かせながらあきらさんがそう言った。 「一人で納得しないでくださいよっ」 「いやいや、ごめん。しかし、偶然ってすごいな」 「それは…そうですね」 少し言葉を濁しながら言った。 気付かれたかな? まさか、彼が同じ名前だったから、あの時、声を出したことを。 ……きっと、超能力者(勝手に決めつけ)の彼はすでに気付いてるんやろな。 名前が一緒やからついて来たんや。って思われてないかな?そうなら嫌やな。 私は、彼の最後の質問の返答を信じたからついて来たんやから。 そう見られたくなくて、私は今まで名前を名乗らんかった。 「こらっ、うつ向くなっ!!暗い気持ちになったら幸せ逃げるっ!!」 あきらさんに怒られてしまった。 私は考えながら、うつ向いてしまってたらしい。 幸せ逃げるの嫌な私は、顔をあげ、彼に向かって、元気よく『はいっ』と返事をした。 「晶さん、行きましょうか?」 四方さんが淡々と私に提案した。 「あっ、すみません。よろしくお願いします。あの…それと、ややこしいので、私のこと“あき"と呼んでください」 「それもそうですね。分かりました、あきさん」 そう言って、四方さんは歩き始め、その後ろを私は追った。 そして、10歩位歩いただろうその時、あきらさんが、さっきいた場所から、ふと呟いた。 『分かってるから』 と。 その言葉を聞いて驚き、無意識に顔だけを後ろに向けたら、あきらさんは、口の端をあげ、軽く笑んでいた。 ……名前でついて来たんじゃないって事を“分かった"ってことだろうか。 今、分かったって単語に該当するのは、私の中にそれしか思い浮かばんかった。 だから、この言葉が、私を信用してもらえたように感じ、私の冷えていた心が少しだけ暖かくなった。 やはり、超能力者やわ。 と思いながらも、口は自然に『ありがとう』と彼に告げていた。 そして、それだけ言うと、顔を元に戻し、四方さんの後を私は追い掛けた。 2006/05/18
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