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Top Novelindex Index Back Next /////////////////////////////////////////////////////////////////////////// 人を信頼するのに、時間なんて関係ない。 ―『rest a while』― 「……お風呂もすごかった」 私は浴槽からあがり、脱衣所に用意されていたピンク色の浴衣を身につけながら、ひとり呟いた。 何がすごかったかって言うと、やはり、あの浴槽の広さ。家の大きさから、かなり大きいとは想像していたけど、あの広さは私の予想を遥かに越えていた。 これはお風呂というより、温泉と呼べる代物かも…源泉じゃなかったけど。 それと、も一つ。 なんと、浴槽が全て樹で出来ていて、これには、すごいを通り越して驚いた。 しかも、更に凄いことに、あれはお風呂好きなら、誰もが憧れる“檜"と呼ばれる樹に違いなかった。 あの艶っ!!香りっ!! 聞いていた通り最高だった。 私はお風呂にこだわる方で、昔からよく調べ、檜風呂にはいつか入ってみたいと思っていた。 「それが、こんなとこで体験できるなんて…」 今のこの状況で喜んだらあかんと思いつつも、憧れの檜の素晴らしさに心うたれ、顔は知らずににやけてくる。 しかし、それと同時にこの家に対する疑問が浮かぶ。 (檜風呂維持するのってだいぶお金いったような…) ――って置いてもらう身で下手な詮索はせーへんけど。 ……でも、気になるもんは気になる。 高そうな装飾とかお金かかりそうなとことか――特にあきらさんは何者?ってのが。 今の所分かっているのはただものじゃないってことと、あの人なら分かってくれる気がするっていうだけ。 (それに…不思議や、私は他人に本心を見せるの苦手やのに彼には見せれるねん) 「やめよっ、考えても分からんわ。言わばあの人は私の恩人。詮索はなしなしっ。それより自分のこと考えなな」 そう。 これからのこと。学校のこと。 それ以上に家出の原因のこと。 なんで、こーなってしもたか。 頭の中にいろんなことがぐるぐる回る。 そうこう考えている時、脱衣所の扉越しに初めて耳に入る高めの声が聞こえてきた。 声からして女の人のようだ。 「湯浴みはすまされましたか?」 えと……ゆあび?? 湯をあびるから、お風呂のことやろな。 単語を間違え聞くが、解釈はあっているわけのわからない私。 考えているうちに着替えも終え、髪もタオルで拭いただけだが、渇かしていた私は『はい、終わりました』と扉越しに伝えた。 「こちらでございます」 四方さんと同じような服を身に付けているお風呂場で話しかけてくれたまだ若そうな女性、名は華乃さんというここのお手伝いさんにお風呂場から案内され、お屋敷の離れ…別館?に連れてきて頂き、今まさにその玄関口の前で華乃さんにそう告げられた。 「あの…こちらって?」 「あきさんのお部屋になります」 「部屋っ!こっ…この大きいとこがっ!!」 ここの庭や、お屋敷を見た時と同じ位、またびっくりした私。 だって、この離れとかいうお部屋、普通の一軒家が入りそうな大きさで……。 しかも、この離れだけ、今までとうってかわって何故か洋館チック。 ――ほんま意味不明や。 「はい。入れば分かりますからどうぞ」 私の驚いた返答に対し、淡々と―仕事ですという感じに事務的に返される言葉。 仕事だからしょうがないと分かってはいてても、感情なくこーいう風に言われるのは好きちゃう。 って、またまた詮索モードがっ。 あかんあかん。 うーん。しかし……入れば分かりますって。 何か怖いなぁ…というより、次は何が出てくるんやろ?のが正しいかな。 それを見てまた驚いてしまうんやろか? 実は、私は大の負けず嫌い。 ここに来てから驚きの連続で、何だか負けてるような気がしてた…誰に対してかは分からんけど。 そう。負けてばかりやねん。 このままでは私の負けず嫌い魂に傷がついてまう。 だから… もう何見てもびっくりするもんかーっ!!! うんうん。よし、扉を開けるぞっ!! そう意を決した私はすぐに勢いよく、かつ、礼儀知らずににならないよう洋館の扉を開けた。 ――また負けてしまうとも知らずにね。 2006/06/10
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